ソイル セラピー アルザス ブラン[2020]
Soil Therapy Alsace Blanc20
タイプ | 白ワイン |
産地 | フランス/アルザス |
品種 | シルヴァネール、リースリング、ピノグリ、オーセロワ、ゲヴェルツトラミネール:So2 Total=35mg/L |
容量 | 750ml |
2020年より新規生産者としてご案内し、ご好評を頂きましたアルザスの若手生産者であるソイル セラピー。毎年新しいこと、新しいテロワールにチャレンジしている彼らから新しいキュヴェ、新しい区画のワインが到着です。
毎年、このアペラシオンを象徴するようなキュヴェとして造られていましたが、2019年に引き続きAOCを獲得することが出来ませんでした。原産地の歴史とテロワール、葡萄の個性を証明する為に頑張ってきた彼らですが、この地の政治的な盲目さにウンザリした為、ラベルに記載する文字を点字にして表記しました。その為、ラベルには点字と右側にセパージュの略語を記載してあります。
緊張感とアロマのバランスがちょうどよく、「アルザスを丸ごと瓶に詰めた」ようなニュアンスを感じてもらえるように考え造られました。石灰岩土壌のツェレンベルク (Zellenberg) にあるビオディナミ栽培の古樹から造られたシルヴァネールと、ツェレンベルクの砂岩と石灰岩土壌にあるビオディナミ栽培の古樹から造られたリースリング、アットシュタット (Hattstatt) の石灰岩土壌にあるビオディナミ栽培のブドウから造られたゲヴェルツトラミネール、アンメルシュヴィア (Ammerschwihr) にある花崗岩土壌の区画でビオディナミ栽培のブドウから造られたミュスカを天然酵母で発酵させ、ステンレスタンクで1年間熟成。爽やかで塩味を感じるようなミネラルが豊富なシルヴァネールとリースリングに、豊かなアロマがあるゲヴェルツをブレンドすることで、ワインに表情を出しつつ、アルザス全部の魅力を伝えようとしたキュヴェ。ダイレクトプレスし、ステンレスタンクで澱と共に8か月熟成。
クリアな麦藁色。凝縮したフレッシュなアロマが立ち上ります。黄色い花、花梨やリンゴ、べっ甲飴の香り、徐々にフレッシュハーブやブリーチーズのような美しさのあるクリーミーさも感じられます。味わいには柔らかい酸と塩味を感じるようなミネラル、グレープフルーツ系の柑橘のニュアンスが溢れます。香り、味共にどんどん膨らみ、凝縮した旨味を感じますが、柑橘の皮の様なちょっとした苦みがフィニッシュを引き締めるので、ダレることなく飲み進めることが出来ます。酒質は非常に安定しており、1週間後でも安定して飲むことが出来ます。春から夏に掛けて最適なキュヴェで、少々冷やし目にして飲むことをお勧めします。
「ソイルセラピー」
アルザスのナチュラルワイン中心地であるコルマール近郊で2017年よりワイン造りを始めた、いわゆる若手生産者ですが、彼らの経験は普通の若手生産者とは括れないものでした。ワインとは無縁な家庭に育ったオーナーのトマとパートナーのミードリー。トマはパリに生まれ、ワイン造りに進むと決心してからボルドー、エルミタージュ、モンペリエで栽培、醸造、販売の全てを学び、2011年からは数年オーストラリアで修行し、その後アルザスのドメーヌ オステルターグで2016年まで修行しました。
パートナーのミードリーは、ミュールーズで生まれ、10年間パリで国際的なビジネスの勉強と仕事をしていましたが、家族の元へ戻ることを決意し、アルザスで栽培と醸造を学びました。この数年間はマルク クレイデン ヴァイスで修行をし、2017年からトマと共にソイル セラピーを設立。若い彼らが自らの望むワインを継続して造るために採用したのは、ミクロネゴスというスタイル。アルザスはブルゴーニュ、シャンパーニュと並び、畑が非常に高額で売りに出にくい地域。望む畑が手に入らないのであればと、望むブドウを購入するスタイルでワイン造りを始める事にしました。勿論、自らが納得し厳選した生産者からブドウを購入し、区画や収穫日を選び、栽培や収穫を自ら行っています。更に彼らは自由な考えのワインを少しづつ広げていきたいという考えから、毎年少なくとも1つの新しいキュヴェ(テロワール)を生産するようにしています。
トマがワイン造りで最も大切にしているのは、各キュヴェにリューディーの個性を明確に表現させる事と、忘れ去られてしまった目立たないリューディーにもスポットを当てること。その為、特に注目されがちなグランクリュではなく、アルザス南部の美しい丘陵地帯にある個性的なリューディーに焦点を当てました。最大の目的は、グランクリュだけでなく、地味だけれども素晴らしいポテンシャルを持つ畑の認知度向上と復興に貢献し、生産者とソムリエの間で、アルザスの偉大なテロワールの豊かさと質的な可能性についての認識を高めることだそうです。
彼らのワインはシュレールやビネールが切り拓いてきたナチュラルワインの自由な考え、自由なワインに、アルザスワインが本来持つトラディショナルな部分をMIXしたアルザスワインの新しいスタイル。新時代の芽吹きを感じられる生産者です。
《ラベルについて》
彼らの(特徴的な)ラベルに表現されている作品は、オーレリアン・ガブリエル・コーエンによるもので、Représentation d'un geste symbiotique (共生のジェスチャーの表現)と名付けられています。人間が植物、発酵、熟成と言う、いわば錬金術を通して様々な自然の要因を明らかにする過程と、テロワールの概念を象徴的に捉え、表現したものです。