ソイル セラピー VdF シスト[2020]
Soil Therapy VdF Shiste20
タイプ | 白ワイン |
産地 | フランス/アルザス |
品種 | リースリング |
容量 | 750ml |
キュヴェ名は、その名の通り、シスト土壌から収穫された葡萄の為名付けられました。ここは、シスト ド ヴィレと呼ばれる多形岩である青色片岩からなる土壌で、余分な水を完璧に排出する性質のため、リースリングは腐敗の危険性をあまり感じずに完全に熟すことが出来る特徴があります。ライン川上流にある標高450mの高い急な斜面に位置する区画(Schieferberg)で、筋肉質で重心が低めなリースリングが収穫できる区画。ソイルセラピーが設立されたときに初めて造られたキュヴェでもあり、彼らにとって最も印象深いキュヴェとの事。
ビオディナミで栽培されており、10月1日に100%手摘みで収穫され、2日間マセラシオン。優しくソフトにプレスを行い、228Lと400Lの古樽で発酵。その後澱の上で1年間熟成を行う。
抜栓直後から非常に凝縮した集中力のある香りに溢れます。白~黄色のカリが支配的で、まるで香水の様な集中したフローラル香。また、柑橘や花梨の様な果実香にも包まれ、時間と共に複雑な香りがグラスの中から溢れ出します。味わいは、ギュッと詰まったフレッシュな果実感が強く、凝縮していますが、塩味を感じるようなミネラルと、ほど良い酸がある為に、エレガントで良好なバランスの中にもグッとくる飲みごたえが感じられる、満足度の高いワインに仕上がっています。長期熟成も可能な骨太で筋肉質なワインで、詰まったミネラルがテロワールを見事に表現しています。
可能であれば5年は寝かせたいワインですが、よくデキャンタージュしてから、大振りのグラスで飲む事をお勧めします。
「ソイルセラピー」
アルザスのナチュラルワイン中心地であるコルマール近郊で2017年よりワイン造りを始めた、いわゆる若手生産者ですが、彼らの経験は普通の若手生産者とは括れないものでした。ワインとは無縁な家庭に育ったオーナーのトマとパートナーのミードリー。トマはパリに生まれ、ワイン造りに進むと決心してからボルドー、エルミタージュ、モンペリエで栽培、醸造、販売の全てを学び、2011年からは数年オーストラリアで修行し、その後アルザスのドメーヌ オステルターグで2016年まで修行しました。
パートナーのミードリーは、ミュールーズで生まれ、10年間パリで国際的なビジネスの勉強と仕事をしていましたが、家族の元へ戻ることを決意し、アルザスで栽培と醸造を学びました。この数年間はマルク クレイデン ヴァイスで修行をし、2017年からトマと共にソイル セラピーを設立。若い彼らが自らの望むワインを継続して造るために採用したのは、ミクロネゴスというスタイル。アルザスはブルゴーニュ、シャンパーニュと並び、畑が非常に高額で売りに出にくい地域。望む畑が手に入らないのであればと、望むブドウを購入するスタイルでワイン造りを始める事にしました。勿論、自らが納得し厳選した生産者からブドウを購入し、区画や収穫日を選び、栽培や収穫を自ら行っています。更に彼らは自由な考えのワインを少しづつ広げていきたいという考えから、毎年少なくとも1つの新しいキュヴェ(テロワール)を生産するようにしています。
トマがワイン造りで最も大切にしているのは、各キュヴェにリューディーの個性を明確に表現させる事と、忘れ去られてしまった目立たないリューディーにもスポットを当てること。その為、特に注目されがちなグランクリュではなく、アルザス南部の美しい丘陵地帯にある個性的なリューディーに焦点を当てました。最大の目的は、グランクリュだけでなく、地味だけれども素晴らしいポテンシャルを持つ畑の認知度向上と復興に貢献し、生産者とソムリエの間で、アルザスの偉大なテロワールの豊かさと質的な可能性についての認識を高めることだそうです。
彼らのワインはシュレールやビネールが切り拓いてきたナチュラルワインの自由な考え、自由なワインに、アルザスワインが本来持つトラディショナルな部分をMIXしたアルザスワインの新しいスタイル。新時代の芽吹きを感じられる生産者です。
《ラベルについて》
彼らの(特徴的な)ラベルに表現されている作品は、オーレリアン・ガブリエル・コーエンによるもので、Représentation d'un geste symbiotique (共生のジェスチャーの表現)と名付けられています。人間が植物、発酵、熟成と言う、いわば錬金術を通して様々な自然の要因を明らかにする過程と、テロワールの概念を象徴的に捉え、表現したものです。